純正車を絶滅させない!
メルセデスベンツ特有のビニール素材の天井生地は、多くの車種に採用されています。しかしメンテナンスパーツとしてのヘッドライナーは既に生産中止のものが多く、流通在庫も無くなって来ています。
しかし、天井は経年と共に必ず垂れて来ます。
垂れて来た天井の生地を廃棄し、布系の生地で張り替えれば、綺麗になります。
しかしそれを繰り返していたら、いずれ地球上から純正ビニール天井を持ったメルセデスは絶滅します。
それでも良いと考える人も多くいるとは思いますが、出来る事なら純正のまま未来の誰かに繋げたい、未来の地球に残したい。
私はそう考えます。
施工対象車種
W124をはじめとする、ビニール素材の天井生地を有するベンツ全てです。
W124以外のベンツをお持ちのお客様でも、純正にこだわって乗り続けたいというお客様は是非お問い合わせください。
施工費用・日数等
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施工費用 |
天井脱着・下地ウレタン施工・現車ビニール生地クリーニングおよび貼付け、全て込々で税込み12万円となります。 |
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施工日数 |
かなり特殊な施工となるため、日数は2日間となります。お車をお預かりして施工する場合は2日目に引き取りにお越し頂く必要がございます。
二日連続で当店にお越し頂くご予定が立てられない場合、一日目は天井取り外しだけ行い、天井が無い状態でお帰り頂きます。後日ご都合の良い日にお越し頂き、完成している天井を取り付けてお帰り頂きます。天井の取り外しおよび取り付けはそれぞれ30分~1時間で終了致しますので、作業を見ていて頂くか、当店近くのファミリーレストランでお待ち頂ければと思います。 |
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助手割引 |
当店の看板サービス「助手割引」ですが、本施工に限り適用外とさせて頂きます。 |
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GC割引 |
ジャーマンカーズ(12月号vol.179)をお持ち頂いたお客様は、総施工金額から5000円の割引とさせて頂きます。ジャーマンカーズは税込み1000円ですので、本施工の為にご購入頂いたとしても、4000円お得になります。^^;
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出張施工 |
お客様のご自宅まで伺い、天井のみ外させて頂き持ち帰って施工致します。後日完成した天井を持って伺い、取り付けて完了となります。
通常の天井張替の場合は、コンプレッサーや接着剤を塗布する環境等が必要になるため、出張施工は致しておりませんでしたが、今回の張り直しの場合お客様のご自宅での作業は、工具のみにて天井を脱着させて頂くだけですので、以下の条件を満たしている場合に限り出張施工対応も可能です。
1. 左右のドアがフルオープンに出来るスペースを有している。
2. さらにそのスペースには天井が着いている。(雨天でも作業が可能である)
※尚、出張施工は別途費用を頂きます。出張費用の詳細に関しましては、お問い合わせ下さい。 |
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経緯説明 (お時間のある方だけどうぞ)
当店では、天井張替と共に、天井張り直しを従来より手掛けてまいりました。しかし、張り直しを実現する為にはいくつかの条件があります。現車で垂れて来た天井生地に破損(破れ・穴等)が無い事、そしてその天井生地にある程度の厚みがあり、接着剤を塗布しても表側に接着剤が染みださない素材である事、の2点が主な条件となります。
この条件に合致しているのが、いわゆるアルカンタラをはじめとする、スエード(バックスキン)素材の天井です。このスエードに関してはかなり多くの張り直し施工実績がありました。
そんな中、W124に乗られているお客様より、「W124の純正生地(ビニール)を使用して、張替ではなく張り直しをして欲しい。純正状態のまま乗り続けたい。」とのご依頼を頂きました。素材がビニールという事もあり、表面に接着剤が染みだす事も考えられない為、そのご依頼を受けさせて頂く事に致しました。
そして従来のスエード系素材と同様に施工を行い、張り直しが完了し、お客様もご満足頂きました。
しかし、わずか2日後、そのお客様より電話があり、なんと張り直した天井が垂れて来たとの事です。何がどう悪かったのか、原因が全くつかめませんが、わずか2日で垂れてしまったのであればやり直さないわけにはいきません。お客様にお詫びしつつ、再施工をお願いする事に致しました。
さて、再施工の日、垂れて来てしまっている天井を剥がしてみたところ、接着剤がまだ完全に硬化していない状態で垂れて来ていました。接着剤の硬化不良が主原因なのかはわかりませんでしたが、再施工は張り付ける前の初期乾燥時間を長くし接着を行うという対策を行い再施工が完了しました。
そしてその二日後、またもやお客様より電話が入り、垂れて来たとの事でした。
原因もわからず、したがって改善策も無い状態ではありましたが、このままにするわけにもいかず、再びお客様にお詫びし、再再施工を行わせて頂くことに致しました。
そして、再再施工の日、垂れて来てしまった天井を剥がしてみたところ、前回同様、接着剤が完全に硬化していませんでした。あれだけ初期乾燥時間を長くしたにもかかわらず、硬化していない・・・。これ以上お客様にその都度お越し頂くのは申し訳ないので、天井のみしばらくお預かりさせて頂くことに致しました。
その後、下地材を変えてみたり、張り付けるテンションを下げてみたり、接着剤を変えてみたりと何度も挑戦をしてみたものの、施工日当日は綺麗に張れているのですが、次の日あるいは2日後には少しずつ浮きが見られる結果となりました。すでにお客様から天井をお預かりしてそこそこの時間が経過していた為、対策は出来ていないけれども、せめて中間報告だけでもしなければと考え、お客様に電話をしました。お客様も純正に拘られていただけに、今回の中間報告は大変残念に思われたと思うのですが、お客様より、「もうこの辺であきらめましょう。張り直しではなく布で張り替えて下さい。」とご提案を頂きました。職人であり、開発者でもありたいと考えている私にとっては、もっとチャレンジしたい気持ちはありましたが、現在お客様が天井無しでお車に乗って頂いている現状およびお客様からの張替のご提案等を考えると、本当に申し訳ない結果になってしまいましたが、お客様のご提案を受けさせて頂き、張替にて対応させて頂く決断を致しました。
その後もW124の天井張替のご依頼を何人ものお客様からご依頼を頂きましたが、全て布素材での張替えにて対応する日々が続きましたが、ご来店頂いたお客様と会話をさせて頂く度に、純正のまま乗り続ける事の価値を痛感させられる日々を過ごしてまいりました。そして、”このままでは開発者とは言えない、何とかこの課題をクリアしてこその開発者だ。”と、自分に言い聞かせ、ビニール天井の張り直し技術の確立の為、一度はあきらめかけた研究と実験をスタートさせました。
かなり時間はかかりましたが、結果、施工後落ちないだろう技術の確立に至りました。(技術の内容に関しては今のところ企業秘密とさせて頂きます。)
しかし、この成功はあくまで実験でのテストピースレベルでの成功です。実際のお車の天井とは条件が違います。実験では実車よりも厳しい条件を作り出し、その条件をパスしての成功なので、実車での自信はありましたが、お客様に安心して当店にご依頼頂くためには、どうしても実車での成功事例が必要でした。
そこで考えたのが、モニター作戦です。
早速HP上で無料モニターの募集を行いましたところ、わずか2日後、モニターに手を挙げて頂けるというお客様が現れました。(仮称:クマゴロウさん)
あくまで実験の延長線上の施工であり、失敗した場合は普通の布の生地で貼りなおすという条件付きでのモニター施工となりますが、クマゴロウさん快く了解頂き、施工を行いました。
モニターは、施工後1か月間、毎週天井の状態をご報告頂くという条件があり、施工後クマゴロウさんからは、毎週キッチリ天井の状態に関してのご報告を頂きました。過去の経験から、落ちるときは2日くらいで落ちてしまうというのがわかっていたので、最初の1週間がヤマだと考えていました。その1週間も無事乗り切り、最終週である1か月後の報告まで問題は起こりませんでした。これで今回の新技術は実車でも問題なく使用可能というお墨付きを得ることが出来ました。
後はこの新技術をどうやって全国の純正ベンツを愛するオーナー様に伝えるのが良いのか、そのベストな方法を模索していて思いついたのが、以前一度当店を取り上げてくれたジャーマンカーズさんのお力をお借りするという事です。早速編集者の名刺を探し出して連絡を取り、今回の掲載となりました。
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